サザンコーストA棟 資料アーカイブver0.90

管理規約を考える条文の成り立ちと、いま議論になっていること

管理規約は、この建物をどう使い、費用を誰がどう負担するかを決めた組合の基本ルールです。区分所有法のもとで、国土交通省の標準管理規約を参考にしながら、組合が自分たちで作ってきました。変えるには総会の特別決議(組合員の4分の3以上の賛成)が要ります。 このセクションでは、いまの条文がどういう経緯でこの形になったのか、どこがいま論点になっているのかを、総会議案書と議事録に残っている記録から書いていきます。条文そのものの一覧は、組合員向けの「管理規約」のコーナーにあります。 だれでも読めるページなので、個別の住戸の事情や、進行中の案件そのものは扱いません。

第7条2項4号床下の配管は誰のものか

A棟の管理規約は、住戸内の床下にある配管類を専有部分に含めないと定めています。つまり共用部分として扱い、その維持や修繕は組合の側で引き受ける建て付けです。 この形は自然にそうなったのではなく、2007年の規約改定で選ばれたものです。第15回定期総会の議案書は、第7条について「標準管理規約に準拠しましたが、住戸内の床下に施設されている配管類は、特に将来のトラブル防止を考慮して共用部分としました」と書いています。国の標準管理規約に全体としては合わせたうえで、ここだけは意識して別の道を取ったことになります。判断の理由は、住戸と住戸のあいだで責任の押し付け合いが起きるのを避けることでした。 2026年4月、理事会が弁護士に依頼した報告書が、別の見方を示しました。よりどころは最高裁平成12年3月21日の判決で、これは東京高裁平成9年5月15日の判断を是認したものです。高裁は、上下階の境目をコンクリートスラブ(構造床)に置きました。スラブは建物全体を支える堅固な構造物であり、そこが境になるという考え方です。この論理をA棟の構造(配管が床スラブの上を通る)にあてはめると、排水管と給湯管と水道管は上階の専有部分にあたる、というのが報告書の結論です。 そうすると、規約の定めと判例の論理が食い違います。報告書は二段構えの対応を示しています。ひとつは現行の条文を限定して解釈しながら運用する方法、もうひとつは第7条2項4号そのものを改定する方法です。 どちらを選ぶかは、配管が傷んだときの費用を組合が持つのか住戸の側が持つのかに、そのままつながります。2007年の判断は、責任の所在をはっきりさせて争いを減らすことを優先しました。判例の論理は、その配管を実際に使っているのは誰かという管理の実態から責任を決めます。同じ配管について、別の物差しが二つあるわけです。 規約を変えるなら特別決議が要ります。判断するのは総会に集まった組合員です。

第11回定期総会(2003年)来客用駐車場を、運用から規約へ

2003年9月23日の第11回定期総会で、第3号議案「管理規約変更承認の件(来客用駐車場運営基準)」が特別決議事項として諮られ、可決されました。 その前に、理事会は運用で手を打っています。前年12月に来客用駐車場の運営についてのお知らせを配って掲示し、来客用と駐車禁止のラインを引き、2003年2月には来客用の10番に車止めを設置しました。業務報告にその日付が並んでいます。困りごとが起きて、まず現場で対処し、それから規約に上げたという順序です。 ここには、規則に書くことと規約に書くことの違いが出ています。使用細則や運営規則なら普通決議で直せますが、規約に上げると、変えるのに4分の3の賛成が要るようになります。手間が増える代わりに、守ってもらう根拠は強くなります。 来客用駐車場はその後も手が入りました。2018年9月の定期総会では、夜間の宿泊利用を有料にする改定が特別決議で可決されています。

第15回定期総会(2007年)14年目の作り直し

いまの管理規約の骨格は、2007年9月23日の第15回定期総会で決まりました。第1号議案「管理規約改定承認の件」が特別決議事項として可決されています。設立総会(平成5年11月)で追認した規約を、14年ぶりに作り直したものです。 作業には2年かかっています。規約改定検討委員会が平成17年7月から19年6月まで14回開かれ、A棟B棟の合同理事会に答申しました。区分所有者と占有者には改定案の資料を事前に配ってアンケートを取り、平成19年8月5日に説明会を開いています。総会に出す前に、聞く手順を踏んでいたことが議案書から読み取れます。 土台にしたのは、平成16年1月に国土交通省が公表した標準管理規約の改正版です。議案書は方針として、条項と条文は標準管理規約に準拠すること、それでいて現行規約を極力尊重することの二つを挙げています。過去の総会議案書と理事会議事録を洗い直し、規約を理解するためのQ&Aまで作っています。 改定の要旨として挙がっているもののうち、その後に効いてくるものがいくつかあります。第7条(専有部分の範囲)で床下の配管を共用部分としたこと。第11条(専有部分の用途)で使用を制限する用途を具体的に並べたこと。第18条でペット飼育の禁止を新しく設けたこと。第26条(上下水道使用料)で、占有者からも使用料を徴収しつつ、貸している区分所有者の支払い義務も残したこと。第36条で、役員になれる人を、居住する区分所有者とその配偶者、一親等の親族(成人)としたこと。第72条で、規約原本は設立総会の議事録をもって代えるとしたこと。 このときに置かれた条文が、2015年の一部改定や、いまの床下配管の議論の出発点になっています。

第23回定期総会(2015年)滞納と騒音を条文で止める

2015年9月23日の第23回定期総会で、第6号議案「管理規約規定の一部改定承認の件」が特別決議事項として可決されました。2007年の改定から8年後です。議案書は理由を「日常生活においては現行規約の問題点や不備が浮き彫りになってまいりました」と書いています。 改定は三つです。 ひとつめは、占有者(借りて住んでいる人)が払う上下水道料や駐車場使用料、町会費を、その住戸の区分所有者が組合に払う形に変えたことです。一部で滞納が出ていたためで、占有者の支払い義務もなくならない書き方にしています。請求が管理費や修繕積立金と一本になるので、事務の手間も減ります。2007年に第26条と第27条で引いた線を、さらに区分所有者の側へ寄せた改定です。 ふたつめは、使用細則に一項を足して、居室の床を張り替えるときのフローリング等の材質を遮音等級L-45以上と決めたことです。工事の内容そのものを規約の側から縛っています。 みっつめは、「管理費等の支払に対する誓約書」の書式を新しくしたことです。それまで使っていたのは平成20年の書式でした。 滞納も、上下階に響く音も、注意して回るだけでは止まりません。誰が払うのか、どの材質なら許されるのかを条文に書いて、はじめて根拠になります。

第26期第1回臨時総会(2018年6月)民泊の禁止を書き込む

住宅宿泊事業法が成立し、分譲マンションでも民泊が行われ得ることになりました。これを受けて、2018年6月2日の臨時総会に、第1号議案「管理規約一部改定承認の件(民泊利用の禁止)」が特別決議事項として上程されています。 議案書が挙げる懸念は三つです。不特定多数の人が出入りして穏やかな住環境が損なわれること、セキュリティを保てなくなること、民泊が公然と行われることで資産価値が下がることです。そのうえで議案書は、理事会としては民泊が禁止である旨をすでに周知しているが、より明確にするために規約を改定する、と書いています。 足そうとした条文は、2007年に用途制限を並べた第11条の続きです。区分所有者は住宅宿泊事業法第3条第1項の届出をしてはならず、届出の有無にかかわらず宿泊料を受けて人を宿泊させてはならないこと。賃借人その他の第三者にそれをさせてもならないこと。附則で、2018年6月2日から効力を発するとしています。 周知していたのに、なぜ条文にしたのか。法律ができると、禁止できる根拠を規約の文言として持っているかどうかが問われるからです。理事会のお知らせは、届出を受け付ける行政にも、部屋を借りた人にも効きません。 この臨時総会の議事録は、まだ資料アーカイブに入っていません。そのため可決されたかどうかを、ここでは書いていません。

第26期定期総会(2018年9月)暮らしの運用を規約に上げる

2018年9月16日の第26期定期総会で、第5号議案「管理規約規定の一部改定承認の件」が特別決議事項として諮られました。改定内容は五つあり、議事録によれば一つずつ採決して、すべて可決されています。まとめて賛否を取らず、項目ごとに諮った点がこの総会の特徴です。 最初の三つは、駐車場と共用廊下の使い方です。 来客用駐車場12区画について、夜間の宿泊利用を平成31年1月1日から1泊500円(税込)で有料にしました。宿泊利用が増えたことへの対策と、管理費会計の増収が目的です。 縦列2台の駐車区画である97番と98番、99番と100番は、車の出し入れが不便なため、26年にわたって居住者用として契約せず、臨時の来客用に使ってきました。これを、2台を一括で契約する人に限って、2台分の料金から3,000円を引く特別割引の区画として提供することにしています。希望者が多ければ抽選です。 共用廊下への私物放置については、大規模修繕工事が終わったあとに理事会が定期巡回をして、エアコンの室外機や自転車、台車、置物、保冷箱、傘立て、ドアマットが置かれているのを確認しました。審議の結果、エアコンの室外機だけは専用の置き場所が確保できていないため現状どおり認め、それ以外は従来どおり禁止としています。禁止をただ繰り返すのではなく、置き場所のない設備は例外にすると決めたわけです。