お金標準管理規約の会計の章 年度、予算、決算、借入れの流れ新着
管理組合は、管理費や修繕積立金という組合員みんなのお金を預かって使っています。標準管理規約には、そのお金の流れを定めた「会計」の章があります。国土交通省の令和7年10月17日改正の単棟型では、第56条から第63条までです。この記事では、年度の始まりから予算、支出、決算、余りと不足の扱いまでを、順番に追います。総会で予算案や決算案が出てきたとき、何を承認しているのかが分かると、議案書の読み方が変わります。管理費と修繕積立金の使いみち、滞納への対応、帳簿の保管と閲覧は別の記事で扱っているので、ここでは触れません。
会計年度とお金の入口
第56条は、管理組合の会計年度を「毎年〇月〇日から翌年〇月〇日まで」と定めています。標準管理規約では日付が空欄になっていて、各マンションが自分たちの規約で決める形です。4月から3月にする組合も、決算期に合わせて別の月にする組合もあるため、自分の組合の年度は規約で確かめる必要があります。 第57条は、収入と支出の大きな枠を示しています。収入は、第25条の管理費等と第29条の使用料です。支出は、第27条から第29条に定める諸費用にあてます。収入の種類は少なく、使いみちは規約で決まっている、という作りです。収支予算案は総会で承認を得る
第58条第1項は、理事長が毎会計年度の収支予算案を通常総会に提出し、承認を得なければならないと定めています。案そのものは、第54条第1項第一号により理事会が議決して作ります。理事会が案を整え、総会が承認する、という二段階です。 予算を途中で変えたいときは、第2項により、理事長がその案を臨時総会に出して承認を得ます。年度の途中で工事の費用が増えた場合なども、理事長の判断だけで予算を動かすことはできません。予算が決まるまでの空白をどうつなぐか
通常総会は、第42条第3項により、新しい会計年度が始まってから2か月以内に招集することになっています。コメントによれば、そのため新年度が始まってから予算案の承認を得るまでに一定の期間がかかるのが普通です。その間も管理員の給料や電気代は発生します。この空白への備えが、第58条第3項です。 第3項は、新年度の開始後、予算の承認を得るまでの間に、次の二つの経費の支出が必要になったときは、理事会の承認を得て理事長が支出できるとしています。- 第27条に定める通常の管理に要する経費のうち、経常的で、予算の承認前に支出することがやむを得ないもの
- 総会の承認を得て実施している長期の施工期間を要する工事に係る経費で、予算の承認前に支出することがやむを得ないもの
災害のときの支出
第58条の第5項と第6項は、緊急時の支出を定めています。第5項は、災害で総会を開くことが難しいとき、理事会が応急的な修繕工事の実施を決議した場合に、理事長がその支出を行えるとしています。第6項は、第21条第6項に基づいて敷地や共用部分の保存行為を行うとき、そのために必要な支出を理事長が行えるとしています。 あわせて第54条第2項により、理事会は、この応急的な工事にあてる資金の借入れと修繕積立金の取崩しも決議できます。借入れと取崩しは、本来は総会の決議事項です(コメントは第48条を挙げています)。大地震の直後のように総会が開けないときのための例外です。決算は監事の監査を経て総会へ
第59条は、理事長が毎会計年度の収支決算案を、監事の会計監査を経て通常総会に報告し、承認を得なければならないと定めています。決算は、理事長が一人で締めるものではありません。第54条第1項第一号により理事会が議決し、監事が会計の面から確かめ、総会が承認する、という順序です。 予算の承認が年度の初めにあり、決算の承認が年度の終わりにある、と考えると位置づけが分かります。予算は使ってよい範囲を総会が認めるもの、決算は実際の使い方を総会が確かめるものです。余ったとき、足りないとき
第61条は、収支決算の結果、管理費に余剰が出た場合は、その余剰を翌年度の管理費にあてると定めています。余ったお金を組合員に返す規定ではありません。次の年度の収入の一部になります。 反対に、管理費等が不足したときは、第61条第2項により、管理組合は組合員に対して、第25条第2項の管理費等の負担割合に従って、その都度必要な金額の負担を求められます。預金口座と印鑑
第62条は、管理組合が会計業務のために管理組合の預金口座を開設すると定めています。管理組合のお金を入れる口座を、組合として持つということです。コメントは、口座の印鑑の保管について、金庫のように鍵がかかる場所に置くこと、印鑑と鍵の保管を理事長と副理事長に分けるなど、適切な取扱方法を検討し、総会の承認を得て細則などに定めておくことが望ましいとしています。借入れは何のためにできるのか
第63条は、管理組合が、第28条第1項に定める業務を行うため必要な範囲内で、借入れをすることができると定めています。第28条第1項は修繕積立金の使いみちを定める規定で、これには別の記事で触れています。借入れは、何のためにでもできるわけではなく、修繕などの特定の業務を行うために必要な範囲に限られます。 借入れは将来の組合員が返していくお金です。借りるかどうかを決めるときは、返済の原資を管理費から出すのか、修繕積立金から出すのか、借入額が総会で承認された予算に収まっているのかを、議案書で確かめる必要があります。考えるための問い
- 自分の組合の会計年度は何月から何月までで、通常総会は年度が始まってから何か月目に開かれていますか。その間の支出は、どのように扱われていますか。
- 総会に出された決算案を読んだとき、予算との差が大きい項目について、理由の説明を受けていますか。
- 組合の預金口座の印鑑と通帳は、誰がどこで保管しているでしょうか。A棟の規約や細則ではどうなっているか、管理規約のコーナーで確かめてみてください。