法律と規約標準管理規約の使用細則は、規約と何が違い誰が決めるのか新着
規約を読むと、「別に使用細則を定める」「別に定めるところにより」という言い回しがたびたび出てきます。規約だけでは足りない部分を、規約の外の決まりに預けているということです。ペットの手続き、駐車場の使い方、リフォームの申請書の出し方など、暮らしの細かい決まりはこの外側の決まりに書かれていることが多く、組合員の日々の行動に直接かかわります。それなのに、その決まりを誰が作り、どの決議で変えられるのかは、あまり知られていません。
ここでは、国土交通省のマンション標準管理規約(単棟型)及び同コメント(令和7年10月17日改正。以下「標準管理規約」)の本文とコメントを開いて、使用細則の位置づけと、規約本体との分担、決め方、例として挙がっている分野を確かめます。標準管理規約は国が示すひな形で、各マンションの規約と条文の番号や中身が同じとは限りません。
使用細則はどこに出てくるのか
標準管理規約の第18条は、建物や敷地の使用について、別に使用細則を定めるとしています。条文はこれだけで、使用細則の中身は書かれていません。 第37条第1項は、役員の心得を定める条文のなかで、使用細則とそのほかの細則を合わせて「使用細則等」と呼んでいます。細則は一つとは限らず、コメントも、使用細則を定める方法として、事項を一つの使用細則にまとめる方法と、事項ごとに個別の細則にする方法の両方があると書いています。規約が「別に定める」と任せている箇所
細部を外に出している箇所は、第18条のほかにもあります。- 第14条第2項:1階の庭の専用使用権をもつ人は、別に定めるところにより専用使用料を納める。
- 第15条第2項:駐車場を使う人は、別に定めるところにより駐車場使用料を納める。
- 第17条:共用部分や他の専有部分に影響するおそれのある専有部分の修繕等には、理事長の承認が要る。コメントは、具体的な手続や守るべき事項の詳細は使用細則に別に定めるとしている。
- 第19条:専有部分を人に貸すとき、区分所有者は、この規約と使用細則に定める事項を借りる人に守らせなければならない。
規約に書くことと細則に回すこと
コメントの第18条関係には、規約と細則の分担を考える手がかりが二つあります。一つは、専有部分の使用に関する事項のうち、基本的なものは規約で定めるべき事項だという記述です。もう一つは、ペットについて、認めるか認めないかは規約で定めるべき事項であり、基本的なことを規約に書いたうえで、手続きなどの細部を使用細則等に委ねることは可能だという記述です。二つを並べると、「してよいか、いけないか」の線引きは規約に置き、「どう届け出るか、どう使うか」という運用は細則に回す、という分担が読み取れます。これはコメントの記述から整理した読み方で、コメント自身がこの言い方をしているわけではありません。コメントが挙げている細則の分野
コメントは、使用細則で定めることが考えられる事項として、次のものを例示しています。- 動物の飼育やピアノ等の演奏に関する事項など、専有部分の使用方法の規制
- 駐車場や倉庫等の使用方法と使用料
- 置き配を認める際のルール
- 喫煙に関するルール
- 敷地や共用部分の使用方法と対価に関する事項
誰がどの決議で決め、変えるのか
標準管理規約の文面では、手順は三段階に分かれます。- 理事会が案をつくる。第54条第1項第二号は、規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止に関する案を、理事会が決議する事項に挙げています。
- 総会が決める。第48条第一号は、規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止を、総会の決議を経なければならない事項としています。使用細則は、理事会や理事長が単独で変えられるものではなく、総会の議決事項です。
- 多数決の重さは、規約本体より軽い。総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決めるのが原則です(第47条第2項)。例外として、組合員総数の過半数であって議決権総数の過半数を有する組合員が出席し、出席組合員とその議決権の各4分の3以上で決める事項が第47条第3項に列挙されていて、先頭に挙がるのが「規約の制定、変更又は廃止」です。この列挙に使用細則は入っていません。コメントも、特に慎重を期すべき事項を特別多数決とし、あとの事項は普通決議としたと述べています。
細則の効力が及ぶ範囲
使用細則は、区分所有者本人だけのものではありません。第19条は、専有部分を借りる人にも規約と使用細則の事項を守らせることを区分所有者に求め、貸与の契約にその旨の条項を入れ、借りる人から誓約書を管理組合に提出させる、という形にしています。役員も、第37条第1項により、法令、規約、使用細則等と総会及び理事会の決議に従って職務を行います。 理事会の権限も、細則で決まることがあります。第51条第2項第一号は、規約若しくは使用細則又は総会の決議によって理事会の権限と定められた業務執行の決定を、理事会の職務に挙げています。 自分のマンションの使用細則がどの範囲まで決めていて、どの決議で作られたかは、管理規約のコーナーで確かめてみてください。考えるための問い
- 自分のマンションの規約には「別に定める」と書かれた箇所があるでしょうか。その行き先の細則は、手元にあり、最近の版でしょうか。
- 犬や猫を飼えるか、楽器を弾けるかといった基本的な線引きは、規約と細則のどちらに書かれているでしょうか。
- 細則の変更は誰が案をつくり、総会ではどの多数決で決まるでしょうか。規約で定めるべき中身が細則に入り込んでいないかは、誰が見ているでしょうか。