サザンコーストA棟 資料アーカイブver0.90

マンション管理の基礎知識公的な出典で確かめた、マンション管理の一般的な知識

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法律と規約専有部分を人に貸すとき、規約を守る義務は誰が負うのか新着

部屋を人に貸している組合員にも、貸されている部屋の隣に住む組合員にも関わる話です。借りた人が夜遅くまで騒いだり、ごみの出し方を守らなかったりしたとき、管理組合は誰に何を求められるのか。貸す側は、貸す前に何をしておく必要があるのか。国土交通省の標準管理規約(単棟型)と区分所有法の条文をもとに、専有部分を貸すときの決まりを順に見ていきます。標準管理規約は、各マンションが規約をつくるときのひな型です。実際の規約は管理組合ごとに違うので、自分のマンションの定めは管理規約のコーナーで確かめてみてください。

借りている人にも規約は及ぶのか

借りている人(賃借人)は区分所有者ではありません。それでも規約の義務を負います。区分所有法は、区分所有者以外の専有部分の使用者を 占有者 と呼びます。同法第6条第3項は、建物の保存に有害な行為など区分所有者の共同の利益に反する行為の禁止を、占有者にも当てはめると定めています。第46条第2項は、占有者は建物や敷地、附属施設の使用方法について、区分所有者が規約や集会の決議に基づいて負う義務と同じ義務を負うと定めています。 標準管理規約もこれに沿っています。第2条第3号で占有者の意味を区分所有法の占有者と合わせ、第5条第2項で同じ義務を負うことを書いています。第5条のコメントは、賃借人は占有者に当たると明記しています。 義務が及ぶのは、建物などの使用方法に関することです。第19条のコメントも、第三者が守るべきなのは規約と使用細則のうち対象物件の使用に関する事項だとしています。管理組合の運営そのものに関する事項まで、賃借人が負うわけではありません。

貸す側が負う三つの義務

賃借人に義務が及ぶなら、貸す側は何もしなくてよいのでしょうか。標準管理規約の第19条は、そうしていません。コメントは、規約の効力が占有者に及ぶことに加えて、区分所有者が借り手に規約と使用細則を守らせる義務を、この条で別に定めたものだと説明しています。 第19条は、貸す側に次の三つを求めています。
  • 第1項:規約と使用細則に定める事項を、借りる人に守らせること
  • 第2項:貸す契約の中に、規約と使用細則を守る旨の条項を入れること。あわせて、借りる人に、守る旨の誓約書を管理組合へ提出させること
  • 第3項:借りる人に、専有部分を借りた旨の届出を管理組合へ提出させること
コメントには、契約書の条項と誓約書の例が載っています。契約書の例は、賃借人が規約と使用細則を誠実に守る義務を定め、違反したときは貸主が契約を解除できるとしています。この解除の定めがあるので、守らない借り手に対して、貸主は契約を終える手段をあらかじめ持てます。

届出には何を書き、管理組合は何に使うのか

届け出る内容について、コメントは、借りた人の氏名、対象の住戸、電話番号、緊急のときの連絡先を例に挙げています。借りた人と、実際に住んでいる人が違う場合は、住んでいる人の情報も把握しておくことが望ましいとしています。 届け出を受けた管理組合は、第31条の2にもとづく居住者名簿に記載します。コメントによると、居住者名簿は賃借人を含め、現に住んでいる人の氏名や連絡先を載せるもので、設備の点検で専有部分に立ち入るときの連絡先をつかむために作ります。災害のときに避難を助けたり、安否を確かめたりするため、高齢者や障害のある人など自力で避難しにくい人を事前に把握しておくことも望ましいとされています。 名簿は、年に1回以上、変更すべき箇所がないかを確かめるよう定められています。個人情報の扱いについては、届出の様式に利用目的を書いておく方法がコメントに挙げられています。 なお、第31条の届出は、組合員の資格を新しく得たとき、または失ったときのものです。部屋を貸しただけでは区分所有者は変わらないので、貸与の届出は第19条第3項の側にあります。民泊については、規約で住宅宿泊事業を認める場合に、事業の届出をしたら管理組合にも知らせるよう定める例が、第19条のコメントに挙がっています。暴力団員への貸与を禁じる規定を置く場合の規定例は、第19条の2にあります。

借り手が規約に違反したとき

第67条は、区分所有者とその同居人に加えて、専有部分を借りた人とその同居人を対象にしています。これらの人が法令や規約、使用細則に違反したり、共同生活の秩序を乱したりしたとき、理事長は理事会の決議を経て、是正のための勧告、指示、警告を行えます。 同じ条の第2項は、貸す側にも責任を残しています。借りた人やその同居人が違反行為をした場合、区分所有者は、是正のため必要な措置を講じなければなりません。借り手の行為だからといって、貸主が無関係になるわけではありません。 勧告や警告で改まらず、障害が大きいときは、区分所有法による手段があります。同法第57条第4項は、占有者の行為についても、行為の停止などを求める請求の規定を当てはめるとしています。さらに第60条は、占有者の行為による共同生活上の障害が著しく、他の方法では取り除くことが困難なときに、集会の決議にもとづく訴えで、貸す契約の解除と専有部分の引渡しを請求できると定めています。決議は、出席した区分所有者とその議決権の各4分の3以上の賛成が必要で、決議の前に占有者の弁明の機会が必要です(同法第58条第2項、第3項を当てはめる規定)。ここまで進むのは最後の手段で、段階を踏んだ対応は別の記事で扱っています。

条文の読み方についての注意

ここで書いた条番号は、令和7年10月17日改正の標準管理規約(単棟型)とそのコメント、およびe-Gov法令検索で開いた区分所有法の条文にもとづきます。区分所有法には令和8年4月1日に施行された改正があり、国内管理人の規定が加わっています。標準管理規約はひな型にすぎないため、各マンションの条番号や文言は違うことがあります。

考えるための問い

  • 自分のマンションの規約や使用細則に、貸すときの誓約書と届出の定めはあるか。あるなら、様式は用意され、提出が実際に行われているか。
  • 部屋を貸している組合員は、借りる人に規約と使用細則を渡して、守る内容を説明しているか。管理組合が把握している借り手の連絡先は、今も正しいか。
  • 居住者名簿の年に1回の見直しを、誰がどの方法で行うか。名簿の個人情報は、どこまでを誰に見せるのか。

出典