サザンコーストA棟 資料アーカイブver0.90

マンション管理の基礎知識公的な出典で確かめた、マンション管理の一般的な知識

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運営専門委員会の作り方と、自治会費など地域活動費の線引き新着

マンションの管理では、修繕の計画づくりのように、理事会だけでは手が回らない仕事が出てきます。また、自治会や町内会の費用を管理費から払ってよいのか、という疑問も、役員が代わるたびに出てきます。国土交通省の標準管理規約(単棟型)には、この二つに答える決まりがあります。この記事では、令和7年10月17日に改正された標準管理規約(単棟型)と、その解説であるコメントをもとに、専門委員会の作り方と、コミュニティ活動の費用の線引きを整理します。標準管理規約は、各マンションが自分の規約を作ったり直したりするときの参考として国が示したひな形です。個々のマンションの規約がそのとおりとは限りません。

専門委員会は理事会が設置する

標準管理規約には、専門委員会の設置を定めた条文があります。第55条第1項は、理事会がその責任と権限の範囲内で専門委員会を設置し、特定の課題を調査または検討させることができる、という内容です。第2項は、専門委員会が調査または検討した結果を理事会に具申する、と定めています。具申とは、意見や結果を上に申し出ることです。 条文の組み立てから分かるのは、専門委員会が決める側ではなく、調べて理事会に報告する側だということです。決めるのは、これまでどおり理事会や総会です。コメントは、専門委員会は検討の対象に関心が強い組合員を中心に構成するものだと説明しています。必要なときは、専門的な知識を持つ人に加わってもらうこともでき、その人は組合員以外でもかまいません。

総会の決議が要るのはどんなときか

理事会が自分の判断だけで設置できるのは、理事会の責任と権限の範囲に収まる場合です。コメントは、次のような場合には専門委員会の設置に総会の決議が必要になると述べています。
  • 検討の対象が、理事会の責任と権限を超える事項である場合
  • 理事会活動に認められている経費以上の費用が、検討に必要になる場合
  • 運営の細かい決まり(運営細則)を作る必要がある場合
つまり、委員会を作る前に、何を検討させるのか、いくらかかるのか、誰が何を決めるのかを、理事会の側で見積もっておく必要があります。理事会の予算の範囲を超える費用や、理事会の権限を超える検討を、委員会の名前で始めるわけにはいきません。

修繕委員会の例と、外部の人に入ってもらうときの注意

コメントは、専門委員会を置く具体的な例として、大規模修繕工事の計画づくりや業者の選定を進める修繕委員会を挙げています。工事の請負契約は金額が大きく、管理組合として意思決定や契約に関わるため、専門的な検討の場を別に設ける意味があります。 一方で、コメントは注意も書いています。部外者が修繕委員など専門委員になりすまし、検討の過程を妨害した場合、管理組合が多額の損害を被るおそれがあるためです。これを防ぐには、専門委員の候補者の本人確認を適切にすることが有効だとされています。本人確認の方法は、コメントの第35条関係に関する部分を参照するよう案内されています。外部の専門家を迎える場合は、誰が推薦したか、肩書きは本当か、を理事会で確かめる手順を決めておくことになります。

自治会費は管理費から払えるのか

ここからは費用の話です。標準管理規約の第27条は、管理費で賄う経費を並べています。その中に、管理組合の運営に要する費用と、第32条に定める業務に要する費用(次条の経費を除く)があります。第32条には管理組合の業務が並んでいて、官公署や町内会等との渉外業務と、マンション及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維持及び向上に関する業務が含まれています。 コメントによると、平成28年の改正より前は、管理費の使いみちとして「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成」が挙げられていました。この表現があいまいで、解釈が広がりやすかったため、管理組合と自治会・町内会を混同し、自治会費を管理費と一体で徴収する例や、自治会活動への支出をめぐる意見の対立やトラブルが起きていた、とコメントは書いています。そこで、この項目は削除され、第32条の業務も、現在の「風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維持及び向上」という書き方に改められました。

管理組合と自治会の二つの違い

コメントの考え方は、二つの区別に整理できます。一つ目は、管理組合と自治会は性質が違う、という区別です。管理組合は、区分所有法第3条に基づき、区分所有者全員で作る強制加入の団体です。自治会や町内会は、居住者が任意で加入する地縁の団体です。だから、両者の活動を混同しないよう注意する必要がある、とされています。 二つ目は、費用の区別です。各居住者が自分の判断で自治会や町内会に入ったときに払う会費は、地域の住民どうしの親睦や福祉、助け合いのために任意で負担するものです。マンションを維持・管理するための費用である管理費等とは別のものだ、というのがコメントの説明です。

一体で集めている場合の四つの注意

自治会費や町内会費を管理費と一体で徴収している場合について、コメントは次の点に留意するよう求めています。
  1. 自治会や町内会への加入を強制するものにならないようにすること。
  2. 加入を望まない人からは、自治会費や町内会費を集めないこと。
  3. 自治会費や町内会費は、管理費とは区分して経理すること。
  4. 管理組合が自治会費などを代わりに集める場合の負担を整理すること。
ここで大事なのは、これらが「管理費から自治会費を払ってよい」という許可ではない点です。コメントが想定しているのは、自治会費を管理組合が代行して集める場合に、加入の自由と経理の区別を守る方法です。代行徴収の負担の整理とは、たとえば手間や手数料を誰がどう負うかを決めておく、という趣旨だと読めます。

管理費で認められる活動と、認められない活動

では、地域やご近所に関わる活動は、すべて管理費の対象外なのでしょうか。コメントはそうは言っていません。管理組合が従来行ってきた活動のうち、マンションやその周辺の美化や清掃、景観形成、防災と防犯の活動、生活ルールの調整のように、経費に見合った資産価値の向上がもたらされる活動は、区分所有法第3条にいう建物とその敷地、附属施設の管理の範囲内で行われる限り可能だとしています。上で見た第32条の業務に要する費用は、第27条の該当する号あるいは別の号の経費として支出できる、という説明もあります。 反対に、コメントは、マンションの管理に関わりのない活動を管理組合が行うのは適切でないとしています。例として、一部の人だけが対象のクラブやサークルの活動経費、主に親睦を目的とする飲食の経費を挙げ、これらはマンション全体の資産価値の向上に役立つとも言いがたいと述べています。そのため、区分所有者全員から強制的に集める管理費をそれらに充てるのは適切ではなく、参加者からの直接の支払いや積立てで賄うべきだとされています。 線引きの目安は、強制的に集める管理費で払ってよいのは、マンション全体の管理や資産価値に結びつく活動に限る、という点にあります。同じ防災でも、組合員全員のための防災活動はその範囲に入りますが、参加者だけの懇親会は入りません。

考えるための問い

  • 検討したいテーマが出てきたとき、理事会の予算と権限の範囲で足りるのか、総会の決議を取るべきなのか、自分のマンションではどう見分けるでしょうか。
  • 自治会や町内会の費用が、管理費と一体で集められていないか、加入しない人の扱いはどうなっているかを、管理規約のコーナーで確かめてみてはいかがでしょうか。
  • 管理費から払っている活動は、組合員全員のためのものか、一部の人のためのものか、見分ける基準を理事会で話し合ったことがあるでしょうか。

出典