運営役員の資格・任期・選任と外部専門家の規定
管理組合の役員は、誰がなれて、何年務め、どうやって選ばれるのか。この三つは、役員のなり手が足りない組合ほど、規約を読み直すときの出発点になります。国土交通省の「マンション標準管理規約(単棟型)」(令和7年10月17日改正)は、第35条から第36条の2で一つの型を示しており、外部の専門家を役員にできる場合の書き方も別に用意しています。ここでは、その条文とコメントを開いて確かめたことを整理します。各マンションの規約は標準管理規約と違うことが多いので、自分のマンションの規約と見比べる材料として読んでください。
役員の種類と、二段階の選び方(第35条)
標準管理規約は、役員として理事長、副理事長、会計担当理事、理事、監事を置きます。人数の欄は「○名」と空けてあり、各マンションが決めます。 選び方は二段階です。理事と監事は総会の決議で選び、理事長・副理事長・会計担当理事は、選ばれた理事の中から理事会の決議で選びます。解任も同じ機関が決めます。資格は「組合員」で、居住の有無は問わない
標準管理規約の第35条第2項は、理事と監事を「組合員のうちから」選ぶとしています。コメントによると、管理組合は区分所有者全員で構成される団体であることを踏まえ、そのマンションに住んでいるかどうかではなく、区分所有者であるという点に着目して資格を決めています。貸している部屋の持ち主や、よそに住む持ち主も対象になります。 ただし、コメントは実態に合わせて資格を変えることも認めています。平成23年の改正前の標準管理規約は、役員の資格を「そのマンションに現に居住する組合員」としていました。居住要件を加える書き方も考えられる、とコメントは述べています。居住者に限れば、日々の暮らしの困りごとを知っている人が役員になります。その代わり、候補になれる人の数は減ります。どちらを選ぶかは、組合の事情で決める問題です。 あわせてコメントは、なり手不足への対応として、理事の家族や親族が、組合員である理事本人に代わって理事会に出席することを認める方法にも触れています。詳しくは第53条のコメントを参照するよう指示しています。任期は1〜2年、半数改選なら2年(第36条)
第36条第1項は、任期を「○年」とし、再任を妨げないと定めます。コメントは、組合の実情に応じて1〜2年で設定するとし、選任するときは就任日と任期の期限を明確にするよう求めています。業務の継続性を重んじるなら半数改選にしてもよく、その場合は任期を2年にします。 第2項から第4項には、任期にまつわる細かな決まりがあります。補欠の役員の任期は前任者の残りの期間です。任期が終わったり辞めたりした役員は、後任が就任するまで職務を続けます。組合員でなくなった役員は地位を失います。 役員が任期の途中で欠けたとき、総会の決議で新しい役員を選べます。コメントは、さらに規約で補欠の選び方をあらかじめ定めておくことが望ましいとしています。組合員の役員が転出や死亡などで欠けた場合は、理事会の決議で補欠を選べると規約に書くこともできます。外部専門家を役員にできるとする場合の書き方
標準管理規約は、組合員だけを役員とする通常の書き方に加えて、「外部専門家を役員として選任できることとする場合」の書き方も並べています。通常の書き方と違うのは、次の三か所です。- 第35条第2項から「組合員のうちから」が外れ、組合員以外の人も総会で理事や監事に選べます。
- 第35条に第4項が加わり、組合員以外の人を選ぶときの選任方法は細則で定めます。コメントは、細則に書く内容として、対象となる専門家の要件と具体的な手続を想定しています。
- 第36条第4項が、「選任(再任を除く)の時に組合員であった役員が組合員でなくなった場合」に地位を失う、という書き方に変わります。
欠格条項と本人確認(第36条の2など)
外部専門家を選べるようにしたのに合わせて、標準管理規約は役員の欠格条項を置いています。認知や判断を適切に行えない人、復権を得ていない破産者、刑の執行が終わってから5年を経過しない人、暴力団員等(やめてから5年以内の人を含む)は、役員になれません。 細則にも欠格条項を足すことが、コメントで想定されています。個人の専門家では、マンション管理士の登録を取り消された人などです。法人から派遣を受ける場合は、銀行取引停止処分を受けた法人や、マンション管理業者の登録を取り消された法人から派遣される人は役員になれません。 役員は組合の財産と多額の契約に関わるため、コメントは、顔写真付きの身分証明書による本人確認を勧めています。専門家には、資格に係る証明書の提示も求められるとしています。報酬、保険、利益相反
外部専門家が役員になる場合、第37条のコメントは、賠償責任保険への加入と、保険の限度額の充実に努めるよう求めています。業務の負担や専門性を考えて報酬を支払うことも考えられるとしています。第37条の2は、役員が組合と取引をするときは、理事会で重要な事実を開示して承認を受けると定めます。考えるための問い
- 自分のマンションの規約は、役員の資格を「組合員」としているでしょうか。居住要件はあるでしょうか。あるとしたら、今の組合員の構成に合っているでしょうか。
- 任期は何年で、半数改選でしょうか。途中で役員が欠けたときの補欠の決め方は、規約に書いてあるでしょうか。
- 外部専門家を役員にする道を開くなら、誰を、どんな手続で選び、どうやってその働きを確かめるのかを、細則でどう書くのが適切でしょうか。