運営総会の招集通知・議決権の数え方・定足数と議事録
総会の案内がいつ届くのか、自分の一票がどう数えられるのか、何人集まれば総会が成り立つのか。この三つは、毎年の通常総会で組合員が直接かかわる決まりです。国土交通省の「マンション標準管理規約(単棟型)」(令和7年10月17日改正)は、これらをおおむね第42条から第49条に置いています。この記事では、その条文とコメントに沿って、招集通知、議決権の数え方、定足数、議長と議事録の順に確かめます。
標準管理規約は、各マンションが規約をつくるときのひな型です。実際の規約は、これと違う定めになっていることがあります。区分所有法の条文は、令和8年4月1日に施行された改正を含む現行のものを見ています。
招集通知は会日の何日前に、何を書いて出すか
区分所有法第35条は、総会(法律では「集会」)の招集通知を、会日より少なくとも1週間前に発するよう定めています。この期間は規約で長くできます。標準管理規約第43条第1項は、これを「少なくとも会議を開く日の2週間前」としています。通知に書くのは、日時、場所、会議の目的、議案の要領です。WEB会議システム等を使うときは、その開催方法も書きます。 「会議の目的」と「議案の要領」は別のものです。コメントによれば、会議の目的は議題の名称にあたり、議案の要領は、組合員が賛否を検討できる程度に決議する内容を要約したものです。「第○号議案 管理費の改定の件」だけでは足りず、改定後の額や時期まで読み取れる書き方が求められます。 建替え決議などマンション再生等に係る決議だけは、2か月前までに通知します。緊急を要するときは、理事長が理事会の承認を得て、1週間を下回らない範囲で期間を縮められます(第43条第8項)。令和7年の改正前は、この下限が5日間でした。 通知の宛先は、組合員が管理組合に届け出た住所です。届出がなければ、そのマンション内の専有部分あてに出します(第43条第2項)。マンション内に住んでいる組合員と、届出のない組合員には、所定の掲示場所への掲示で通知に代えることもできます(同条第3項)。 通知に載っていない事項は、総会で決議できません(第47条第12項)。区分所有法第37条第1項にも同じ趣旨の規定があります。議案を急に追加できない理由は、ここにあります。通常総会の時期、臨時総会、議長
通常総会は、理事長が毎年1回、新会計年度の開始から2か月以内に招集します(第42条第3項)。臨時総会は、理事会の決議を経ていつでも招集できます(同条第4項)。コメントには、災害や感染症の拡大でやむを得ない場合は、状況が解消した後に遅滞なく招集すれば足りるとあります。 議長は理事長が務めます(第42条第5項)。コメントでは、総会で議長を選任する旨を規約に定めることもできるとされています。 組合員の側から総会を求める道もあります。組合員総数の5分の1以上と議決権総数の5分の1以上の同意を得て、会議の目的を示して請求すると、理事長は請求から2週間以内に、請求日から4週間以内の日を会日とする臨時総会の通知を発しなければなりません。理事長が通知を出さないときは、請求した組合員が自ら臨時総会を招集できます(第44条)。この場合の議長は、出席した組合員の議決権の過半数で選びます。議決権はどう数えるか
標準管理規約第46条第1項は、各組合員の議決権の割合を別表第5に掲げるとしています。割合の決め方について、コメントは次の三つを挙げています。- 共用部分の共有持分の割合、またはそれを賛否を算定しやすい数字に直した割合(適当とされている方法)
- 各住戸の面積があまり異ならないときは、住戸1戸につき1個
- 住戸数を基準とする議決権と専有面積を基準とする議決権の併用
定足数と議決の数え方
総会が成り立つ最低限の出席を、定足数といいます。標準管理規約第47条第1項は、議決権総数の過半数を持つ組合員の出席を求めています。令和7年の改正前は「半数以上」でした。コメントによると、改正は区分所有法の改正で特別多数決にも定足数が設けられたことに合わせたものです。住戸数の少ない小規模なマンションでは、従来どおり「半数以上」とすることも考えられるとされています。 出席に数えられるのは、総会の場にいる組合員だけではありません。書面、代理人(電磁的方法が使える規約では電磁的方法を含む)で議決権を行使した人も、出席組合員とみなされます(第47条第7項)。WEB会議で議決権を行使できる組合員も数に入ります。ただし、議決権を行使できないまま議事を傍聴しているだけの人は含まれません。 普通の議案は、出席組合員の議決権の過半数で決まります(第47条第2項)。過半数に届かなければ否決です。規約の変更など特に慎重を期す事項は、第3項で、組合員総数と議決権総数の各過半数の出席を求めたうえで、出席組合員とその議決権の各4分の3以上の賛成で決すると定められています。その内容は別の記事に譲ります。 数え方の組み合わせには注意が必要です。コメントは、定足数が議決権総数の過半数、決議が出席者の過半数なら、総議決権の4分の1を少し超える賛成で決まりうると指摘しています。そのため大規模修繕工事のように多額の費用がかかる議案は、規約で、組合員総数と議決権総数の過半数、または議決権総数の過半数で決する旨を定めることもできるとされています。議事録に何が残るか
議事録は議長が作ります。書かれるのは、議事の経過の要領と結果です。書面の議事録には、議長と、議長が指名する出席組合員2名が署名します(標準管理規約第49条)。区分所有法第42条は、署名するのを議長と出席した区分所有者2人としています。 議事録は理事長が保管し、組合員や利害関係人から請求があれば閲覧させます。保管場所は、所定の掲示場所に掲示します。総会の議案書や付随する資料も、理由を付した請求があれば閲覧できます(第49条の2)。考えるための問い
- 自分のマンションの規約では、招集通知は会日の何日前までに出すと書かれていますか。標準管理規約の2週間前と比べて、長いでしょうか、短いでしょうか。
- 自分のマンションの議決権は、住戸1戸1個、専有面積割合、その併用のどれですか。別表を確かめると、普通決議で一票の重みがどう変わるかが見えてきます。
- 定足数の定めは「半数以上」と「過半数」のどちらですか。小規模なマンションと大規模なマンションで、同じ定め方でよいかも考えてみてください。