サザンコーストA棟 資料アーカイブver0.90

マンション管理の基礎知識公的な出典で確かめた、マンション管理の一般的な知識

← 一覧に戻る

運営規約、議事録、会計帳簿は誰が保管し、どう閲覧できるか

管理組合の書類は、理事長の手元に置かれたまま、組合員がほとんど目にしないことが少なくありません。しかし、規約も議事録も会計帳簿も、組合員が自分のマンションの運営を確かめるための材料です。この記事では、国土交通省の標準管理規約(単棟型、令和7年10月17日改正)と区分所有法をもとに、書類を誰が保管し、組合員がどう見せてもらえるのかを整理します。名簿のように、見せ方に気をつける書類があることも取り上げます。 なお、標準管理規約はひな形であり、各マンションの規約は条文の番号も中身も違うことがあります。自分のマンションの扱いは、規約と細則で確かめてください。

法律が定める最低限の決まり

区分所有法第33条は、規約の保管者を定めています。規約は管理者が保管します。管理者がいないときは、建物を使用している区分所有者かその代理人のうち、規約か集会の決議で定めた人が保管します。令和8年4月1日施行後の条文を e-Gov で確かめました。 閲覧については、利害関係人から請求があったとき、保管者は正当な理由がある場合を除いて、閲覧を拒めません。利害関係人は組合員だけでなく、権利関係のある外部の人を含みます。規約が電磁的記録(データ)で作られているときは、請求した人の承諾を得て、データのまま提供することもできます。保管場所は、建物内の見やすい場所に掲示する決まりです。 議事録については第42条があります。集会の議長が議事録を作り、議事の経過の要領と結果を記載します。書面の議事録には議長と出席した区分所有者2人が署名します。そして保管と閲覧については、第33条の規定を議事録にも当てはめるとされています。

標準管理規約では理事長が保管する

標準管理規約は、保管の役目をほぼ理事長に集めています。確かめた範囲では、次のとおりです。
  • 規約原本(第72条):理事長が保管します。閲覧を請求できるのは区分所有者と利害関係人です。
  • 総会の議事録(第49条):理事長が保管し、組合員か利害関係人の請求で閲覧させます。保管場所は所定の掲示場所に掲示します。
  • 総会の議案書と付随する資料(第49条の2):理事長が保管し、同様に閲覧させます。
  • 理事会の議事録と資料(第53条):総会の議事録と同じ扱いにするとしています。
  • 会計帳簿、什器備品台帳などの帳票類(第64条第1項):理事長が作って保管します。
  • 長期修繕計画書、設計図書、修繕等の履歴情報(第64条第2項):同じく理事長が保管します。
  • 組合員名簿と居住者名簿(第31条の2):理事長が作って保管します。
コメントによると、帳票類には、第64条第1項に書かれたもののほか、領収書、請求書、管理委託契約書、修繕工事請負契約書、駐車場使用契約書、保険証券なども含まれます。

閲覧の請求の仕方

標準管理規約の閲覧請求は、理由を付した書面で行う形です。第64条は、組合員または利害関係人の理由を付した書面による請求を前提にしています。名簿(第31条の2)は、組合員の相当の理由を付した書面による請求です。議事録(第49条)は、書面による請求と書かれています。つまり、口頭の頼みごとではなく、何のために見たいのかを書いて出す形が基本です。 電磁的方法(メールなど)が使える管理組合向けに、標準管理規約は別の条文案も用意しています。その案では、請求も書面か電磁的方法のどちらでもよく、書類も書面か電磁的記録のどちらで作ってもかまいません。自分のマンションがどちらを採っているかは、規約を見ないと分かりません。 閲覧には、条件がつけられます。標準管理規約は、閲覧について理事長が相当の日時、場所等を指定できるとしています。理事長の都合で見せないのではなく、管理室や理事会室などで、日を決めて見る形が想定されています。

費用と、書面で交付してもらう方法

閲覧そのものに費用がかかるかどうかは、確かめた条文には書かれていませんでした。費用が出てくるのは、閲覧ではなく書面の交付のほうです。第64条第3項は、組合員や利害関係人が閲覧ではなく、自分が知りたい特定の情報だけを記入した書面を求める場合に、理事長が交付できるとしています。このとき、交付を受ける人に費用を負担させることができます。名簿についても、第31条の2第2項に同じ仕組みがあります。 コメントによれば、この仕組みは、住戸を売りたい組合員から頼まれた不動産業者が、大規模修繕の予定、修繕積立金の状況、ペットや楽器の制限、駐車場の空きなどの情報を求める実態に対応するものです。対象にする範囲と費用は、細則で定めておくのが望ましいとされています。

名簿と議事録は、個人情報に気をつける

組合員名簿と居住者名簿は、書類の中でも気を使うものです。居住者名簿は、賃借人を含めて今住んでいる人の氏名や連絡先を載せ、設備点検の際の連絡先や災害時の安否確認に使います。 コメントは、閲覧のときに組合員等のプライバシーに留意するよう求めています。名簿の項目のうち、請求の理由に照らして不要と思われるものは、開示しないこともできるとされています。名簿を理由なく全部見せる必要はありません。また、請求できる人を組合員に限る形になっていて、組合員以外から請求される場合に備えて、請求できる範囲を決めておくこともできるとされています。 名簿の作成には個人情報保護法も関わります。管理組合が個人情報取扱事業者にあたる場合は、利用目的をできる限り特定し、本人に通知または公表する必要があります。災害時に自力で避難しにくい人の情報は、要配慮個人情報にあたることがあり、原則として本人の同意が要るとコメントは述べています。 議事録も同じです。コメント(第49条関係)は、議事録に個人情報やプライバシー情報が含まれることが多いので、閲覧のときは発言者や審議内容から特定の個人が分からないよう加工するなど、適切に対応する必要があるとしています。また、議事録を閲覧できる利害関係人は、担保権者、差押え債権者、賃借人、組合員から媒介を頼まれた宅地建物取引業者など、法律上の利害関係がある人です。単に親族だというだけでは対象になりません。

閲覧を断られたときに考えること

理事長が見せてくれないときの手続きについて、確かめた範囲の標準管理規約には、特別の定めは見つかりませんでした。区分所有法第33条第2項は、保管者が正当な理由なく閲覧を拒めないと定めています。法的な手続きの詳細は、この記事では確かめていません。

考えるための問い

  • 自分のマンションでは、規約、議事録、会計帳簿、名簿を誰が保管し、請求の方法と閲覧できる場所は規約や細則にどう書かれているか。
  • 閲覧ではなく書面の交付を求めるとき、費用と範囲が細則で決まっているか。決まっていなければ、理事会で話し合う価値があるか。
  • 名簿や議事録を見せるとき、プライバシーを守りながら、必要な情報を組合員に開く手順を管理組合として持っているか。

出典