お金標準管理規約の管理費 第25条と第27条の負担と使いみち
毎月の管理費が何に使われ、なぜ住戸ごとに額が違うのかは、総会の決算報告を読むときの土台になります。この記事では、国土交通省の標準管理規約(単棟型、令和7年10月17日改正)の第25条と第27条を中心に、管理費の負担のしかたと、管理費で賄う経費の種類を読みます。各マンションの規約は標準管理規約と違うことがあるので、ご自分の規約を確かめる際の物差しとしてお読みください。
管理費と修繕積立金は別のお金です
第25条第1項は、区分所有者が敷地や共用部分などの管理に要する経費に充てるため、「管理費」と「修繕積立金」を管理組合に納めなければならないと定めています。この二つをまとめて「管理費等」と呼びます。 二つは使いみちが違います。第27条は、管理費を「通常の管理に要する経費」に充てるものとしています。第28条は、修繕積立金を、計画的に行う修繕や不測の事故による修繕など、特別の管理に要する経費に充てる場合に限って取り崩せるとしています。日々の維持にかかるお金が管理費、いずれ来る大きな工事に備えるお金が修繕積立金、と覚えると整理しやすくなります。 混ざらないように、第28条第4項は、修繕積立金を管理費とは区分して経理しなければならないと定めています。コメントも、分譲会社が一括して集める修繕積立基金や、修繕時に集める一時負担金も、修繕積立金として積み立てて区分経理するものとしています。負担の割合は共有持分で決まります
第25条第2項は、管理費等の額を、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出するとしています。共有持分の大きさに応じて額が決まるので、持分の違う住戸では負担額も違ってきます。 この点について、同条のコメント(解説)は二つのことを述べています。一つは、負担割合を決めるときに使用頻度などは勘案しないという点です。エレベーターをよく使う階か、ほとんど使わない階かで額を変えることはしません。もう一つは、議決権の割合の決め方との関係です。総会の議決権を一戸一議決権や価値割合で決めている場合でも、負担額は議決権とは別に、共有持分に応じて算出するとされています。 議決権の数と負担額は別の物差しで決まる、ということです。管理費で賄う経費は十一の項目です
第27条は、管理費で賄う経費を一号から十一号まで挙げています。- 管理員の人件費
- 公租公課
- 共用設備の保守維持費と運転費
- 備品費、通信費その他の事務費
- 共用部分等にかかる火災保険料、地震保険料その他の損害保険料
- 経常的な補修費
- 清掃費、消毒費、ごみ処理費
- 委託業務費
- 専門的知識を有する者の活用に要する費用
- 管理組合の運営に要する費用
- その他、第32条に定める業務に要する費用(次条に規定する経費を除く)
役員の活動費と運営費用はどう扱うか
第十号の管理組合の運営に要する費用には、役員の活動費も含まれます。コメントは、役員活動費については一般の人件費等を勘案して決めるとしながら、役員が区分所有者全員の利益のために活動することに鑑みて適正な水準に設定するとしています。 また第25条のコメントには、管理費のうち管理組合の運営に要する費用を、組合費として管理費とは分けて徴収することもできる、という記述があります。標準の形に縛られず、規約で工夫する余地があることを示しています。自治会費やクラブ活動の費用は管理費に入るか
第27条のコメントは、管理費の使いみちの境目を、具体的な例で説明しています。 一つは自治会費や町内会費です。コメントは、管理組合が区分所有者全員の強制加入の団体であるのに対し、自治会や町内会は居住者が任意に加入する団体で、性格が違うと述べています。自治会費等は居住者が任意に負担するもので、管理費等とは別のものです。管理費と一緒に集めている場合は、加入を強制しないこと、加入を望まない人から徴収しないこと、管理費とは区分して経理すること、代行して集める負担を整理することに気をつけるよう書かれています。 もう一つは、一部の人だけが対象になるクラブやサークルの活動費、主に親睦を目的とする飲食の費用です。コメントは、これらは管理の業務の範囲を超え、全体の資産価値の向上に役立つとも言いがたいため、全員から強制的に集める管理費で賄うのは適切でないとしています。参加者が直接支払うか、積み立てて賄うのがよいとされています。 平成28年の改正前の標準管理規約には、居住者間のコミュニティ形成に要する費用を管理費の使途とする規定がありました。コメントによると、定義があいまいで拡大解釈のおそれがあり、自治会費を管理費として一括で集める事例をめぐる対立もあったため、この規定は削除されました。一方で、美化や清掃、防災や防犯の活動のように、マンション全体の資産価値の向上につながる活動は、管理組合の目的の範囲内で行う限り可能だと整理されています。売買や滞納のときの扱い
管理費等は、区分所有者が変わっても残る債権です。第26条は、管理組合が管理費等について持つ債権を、区分所有者の特定承継人(売買などで区分所有権を受け継いだ人)に対しても行使できると定めています。前の所有者が滞納したまま売却した場合でも、買った人に請求できる、という意味です。滞納があったときの取扱いについては、第25条のコメントが第60条を参照するよう書いています。 また第29条は、駐車場使用料などの敷地や共用部分の使用料を、それらの管理に要する費用に充てるほか、修繕積立金として積み立てるとしています。使用料は、管理の費用に充てたあとの残りが修繕積立金に回る仕組みです。考えるための問い
- ご自分のマンションの規約では、管理費の負担割合は何を基準に決まっていますか。標準管理規約の共有持分に応じる方式と同じか、確かめてみてください。
- 決算報告の管理費の支出は、第27条の項目に当てはめるとどれに当たりますか。当てはまらない支出があれば、その根拠は規約のどこにありますか。
- 自治会費や親睦の費用は、管理費と分けて経理されていますか。