サザンコーストA棟 資料アーカイブver0.90

マンション管理の基礎知識公的な出典で確かめた、マンション管理の一般的な知識

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運営理事会の招集、定足数、議事録と利益相反取引の標準的な決まり

理事会は、理事長や理事が集まって管理組合の日々の運営を決める場です。総会のように全員が集まる会議ではないぶん、開き方や記録の残し方があいまいになりやすく、あとから「その決定は有効だったのか」「議事録は見せてもらえるのか」という疑問が出ます。国土交通省の標準管理規約(単棟型)は、理事会の運営について条文で一通りの型を示しています。この記事では、令和7年10月17日改正版の条文を使い、招集、定足数と議決、議事録、理事の利益相反取引の四つを順に見ます。標準管理規約は各マンションが規約をつくるときのひな形であり、実際の規約は標準と違うことがあります。

理事会の構成と役割(第51条)

理事会は理事で構成し、議長は理事長が務めます(第51条)。職務は三つあります。規約や総会の決議で理事会の権限とされた業務執行の決定、理事の職務執行の監督、理事長、副理事長、会計担当理事の選任と解任です。 コメント(条文の解説部分)によると、理事の互選で選ばれた理事長などは、理事の過半数の一致で役職を解くことができます。ただし、理事という地位そのものは総会の決議を経なければ解けません。

招集の手続き(第52条)

理事会は理事長が招集します(第52条第1項)。理事長が開かないときのために、規約案は二段構えの仕組みを置いています。
  1. 一定の割合以上の理事の同意を得て理事が招集を請求したら、理事長は速やかに招集しなければならない
  2. 請求から一定の日数以内に招集の通知が出されなければ、請求した理事が自分で理事会を招集できる
割合と日数は、標準管理規約では「○」の空欄です。各マンションの規約で確かめる必要があります。 通知の方法は、総会の招集を定めた第43条を準用します(第52条第4項)。準用の際は「組合員」を「理事及び監事」と読み替えます。総会の第43条は、会議の日の2週間前までに日時、場所、目的、議案の要領を通知すると定めています。WEB会議システムなどで開く場合は、その開催方法も示します。緊急を要するときは、1週間を下回らない範囲で期間を縮められます。総会では理事会の承認が要りますが、理事会の招集では「理事及び監事の全員の同意」と読み替えられます。 ただし書きがあり、理事会で別段の定めをすることもできます。実際の理事会が総会より短い予告で開かれているなら、こうした定めか運用によるのかを、規約と細則で確かめる価値があります。

定足数と議決(第53条)

理事会は、理事の半数以上が出席しなければ開けず、議事は出席した理事の過半数で決めます(第53条第1項)。WEB会議システムなどを用いる会議も含まれ、コメントは、WEB会議で出席した理事も定足数の算出では出席理事に含まれると考えられるとしています。 理事は総会で選ばれ、組合員のために職務を行う立場なので、コメントは、原則として理事本人が出席して議論し、議決権を行使することを求めています。本人が出られない場合の扱いは、次のとおりです。
  • 職務代行者:本人に代わって別の人が出席する方法です。コメントは、認めるなら、代行者の範囲を規約の明文で定める必要があるとしています。規約例では、理事の配偶者か一親等の親族に限っています。
  • 書面による表決:欠席する理事が、事前に通知された事項について書面で票を投じる方法です。これも認める旨を規約に明記する必要があります。
どちらも、標準管理規約の本文ではなくコメントが示す選択肢です。自分のマンションの規約に書かれていなければ、使えないことになります。 書面や電磁的方法(メールやクラウド上の投票など)による決議については、第53条第2項が限定的に認めています。対象は第54条第1項第五号の事項、つまり規約が定める各種の申請に対する承認か不承認です。コメントは、申請数が多く迅速な審査が要るからだと理由を述べています。それ以外の議題は、理事が集まって議論することが前提です。 特別の利害関係を持つ理事は、その決議に加われません(第53条第3項)。

議事録の作成、保管、閲覧(第53条第4項、第5項)

理事会の議事録は、総会の議事録の規定(第49条)を準用してつくります。「総会に出席した組合員」は「理事会に出席した理事」と読み替えます。 議事録には議事の経過の要領と結果を書き、議長と、議長が指名する出席理事2名が署名します。電磁的方法が使える規約では、電磁的記録でつくることも、電子署名を付けることもできます。 保管するのは理事長です。組合員か利害関係人から書面で請求があれば、理事長は閲覧させなければならず、日時と場所は相当なものを指定できます。電磁的方法が使える場合は、電磁的方法での請求や、閲覧に代わる電磁的方法での提供も認められます。 総会の議事録では保管場所の掲示が定められていますが、理事会の議事録の準用では、この掲示の項は除かれています(電磁的方法が使えない規約の第49条第4項、使える規約の第49条第6項)。 利害関係人とは、コメントによれば、敷地や専有部分に担保権を持つ人、差押え債権者、賃借人、組合員から媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者など、法律上の利害関係がある人です。親族というだけの人は含まれません。また、議事録には個人情報が含まれることが多いため、閲覧では、発言者や審議内容から個人が特定されないよう加工するなどの対応が必要とされています。 理事会で使った資料も、総会資料の保管と閲覧の規定(第49条の2)を準用して保管し、閲覧させます(第53条第5項)。

理事の利益相反取引(第37条の2)

役員が、自分や第三者のために管理組合と取引をしようとするときは、理事会で取引の重要な事実を開示し、承認を受けなければなりません。管理組合が役員以外の人と取引をし、その取引が管理組合と役員との利益を相反させるときも同じです(第37条の2)。 コメントは、外部の専門家が役員に就ける選択肢を設けたため、こうした取引を規制する必要が高まったと説明しています。理事長については、管理組合との利益が相反する事項では代表権を持たず、監事か他の理事が管理組合を代表します(第38条第6項)。この承認は、第54条第1項第七号により理事会の決議事項です。

理事会の決議の効力について確認できたこと

理事会の決議が一般にどんな法的効力を持つかを正面から定めた条文は、今回開いた標準管理規約とコメントでは見つかりませんでした。そのため、ここでは断定しません。確かめられたのは、監事に関する次の点です。コメントは、理事会は第52条の招集手続を経て、第53条第1項の要件を満たせば開くことができ、監事が出席しなかったことは決議などの有効性に影響しないとしています。

考えるための問い

  • 自分のマンションの規約では、理事会の招集の通知は何日前までと決まっていますか。緊急の場合の短縮は、誰の同意でできますか。
  • 理事が出席できないとき、職務代行者や書面による表決が規約で認められていますか。認められていないなら、欠席した理事の意見はどう扱われていますか。
  • 議事録は誰が保管し、組合員が見たいときはどんな手順で閲覧できますか。個人情報の扱いはどう決められていますか。

出典