サザンコーストA棟 資料アーカイブver0.90

マンション管理の基礎知識公的な出典で確かめた、マンション管理の一般的な知識

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運営標準管理規約が定める管理組合の業務と役割分担

マンションの管理組合は、区分所有者全員で作る団体です。ところが、その組合が具体的に何をする組織なのかは、案外知られていません。掃除や修繕は管理会社がやってくれるもの、と考えている方も多いでしょう。実際には、管理会社は組合から仕事を任された立場にすぎません。何が組合の仕事で、どこまでを任せられ、誰が何を決めるのかを知っておくと、総会の議案や管理委託契約の更新を読むときに、判断の手がかりになります。 この記事では、国土交通省の「マンション標準管理規約(単棟型)」(令和7年10月17日改正版)の条文とコメントを確かめながら、この三つを順に見ます。標準管理規約は、各マンションが管理規約をつくるときのひな形です。国が示すもので、法律ではありません。各マンションの規約は、標準と違う定めになっていることがあります。

第32条が挙げる管理組合の業務

標準管理規約の第32条は、管理組合が行う業務を、第一号から第十五号まで並べています。冒頭の文言は、建物とその敷地、附属施設の管理のため、次の業務を行う、というものです。 挙げられている業務を、内容の近いものにまとめると次のようになります。
  • 建物や設備の維持:共用部分などの保安、保全、保守、清掃、消毒、ごみ処理(第一号)と、その修繕(第二号)。
  • 修繕の計画と記録:長期修繕計画の作成や変更、計画書の管理(第三号)。設計図書の管理(第五号)。修繕の履歴情報の整理と管理(第六号)。
  • お金と保険:修繕積立金の運用(第十号)。共用部分の火災保険や地震保険などの損害保険に関する業務(第七号)。
  • 暮らしの運営:官公署や町内会などとの渉外(第十一号)。マンションと周辺の風紀、秩序、安全の維持、防災、居住環境の維持と向上(第十二号)。広報と連絡(第十三号)。
  • 将来に備える業務:マンション再生等に係る合意形成に必要な事項の調査(第四号)。管理組合が消滅するときの残余財産の清算(第十四号)。
このほか、専用使用部分(バルコニーや専用庭など)について組合が行うのが適当な管理行為(第八号)、敷地と共用部分の変更や運営(第九号)、そして「その他」として建物と敷地、附属施設の管理に関する業務(第十五号)があります。

組合の仕事には限りがある

第32条のコメントは、組合の活動範囲に線を引いています。美化や清掃、防災、防犯、生活ルールの調整といった活動は、区分所有法第3条が定める管理組合の目的、つまり建物と敷地、附属施設の管理の範囲内で行う限り可能だ、という考え方です。 この範囲に入らない活動でも、役員が個人の資格で参加することは差し支えない、とコメントは続けています。管理費の使い道をめぐって、自治会や町内会の活動と混同される例があったために、条文の書き方が整理されたと説明されています。 防災については、コメントが具体例を挙げています。防災マニュアルの作成と周知、防災訓練の実施、防災情報の収集と周知、防災用名簿の作成、防災用物資の備蓄などです。ただし、これらを管理組合自身が担うとは限らず、別に防災活動の組織をつくって、そちらが主導する形も考えられると書かれています。

管理会社に任せられる範囲

第33条は、管理組合が第32条の業務の全部または一部を、マンション管理業者などの第三者に委託したり、請け負わせたりして実行できる、と定めています。「全部または一部」とあるので、文言のうえでは、第32条のどの業務も委託の対象になりえます。第三者に委託するときは、マンション標準管理委託契約書によるとコメントに書かれています。 任せることと、決めることは別です。たとえば長期修繕計画について、第32条第三号は作成や変更の業務を組合の仕事としています。計画をどう作るかの作業を業者に頼めても、その計画を認めるかどうかは、後で見るとおり組合の側が決めます。 別の道具もあります。第34条は、マンション管理士などの専門家に、相談や助言、指導などの援助を求められると定めています。管理会社に実務を委託するのとは違い、組合の運営そのものについて助言を受ける仕組みです。コメントには、専門家として弁護士、司法書士、建築士、行政書士、公認会計士、税理士などが例示されています。

総会と理事会と理事長の役割分担

業務を誰が決めるかは、総会、理事会、理事長で分かれます。 総会は、第48条に挙げられた事項を決議します。規約や使用細則の制定、変更、廃止、役員の選任と解任、収支決算と事業報告、収支予算と事業計画、長期修繕計画の作成または変更、管理費等の額、修繕積立金の保管と運用の方法などが含まれます。ここには、組合管理部分に関する管理委託契約の締結(第十七号)も入っています。つまり、管理会社への委託という大きな判断は、理事会だけで決められず、総会の議決が要ります。 理事会は、第51条で、理事で構成されると定められています。職務は三つです。規約や総会の決議で理事会の権限とされた業務執行の決定、理事の職務の執行の監督、理事長、副理事長、会計担当理事の選任と解任です。第54条は、理事会が決議する事項を挙げています。収支決算案や予算案などの総会に出す議案づくり、使用細則等の案、長期修繕計画の案などです。 理事長は、第38条で、管理組合を代表し、業務を統括するとされています。総会が大きな方針を決め、理事会が業務執行を決めて理事を監督し、理事長が組合を代表する、という分担です。

自分のマンションの規約と見比べる

この記事で見た条番号は、令和7年10月17日改正の単棟型のものです。各マンションの規約が標準管理規約どおりとは限らず、条番号や業務の範囲が違うことがあります。A棟の規約ではどうなっているかは、管理規約のコーナーで確かめてみてください。

考えるための問い

  • 自分のマンションの規約では、管理組合の業務はどのように書かれているでしょうか。標準管理規約の第32条にある業務のうち、書かれていないものや、付け加えられているものはないでしょうか。
  • 管理会社に委託している業務は、何でしょうか。委託契約の内容を総会でどのように決め、更新しているでしょうか。
  • 理事会が決められることと、総会の決議が要ることは、規約のどの条に書かれているでしょうか。

出典