サザンコーストA棟 資料アーカイブver0.90

マンション管理の基礎知識公的な出典で確かめた、マンション管理の一般的な知識

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法律と規約専用使用権の決まり方、使用料の扱い、変更するときの決議

マンションには、廊下や階段のように全員で使う共用部分のほかに、特定の人だけが使えると決められた場所があります。バルコニー、1階の専用庭、駐車場がその代表です。この「特定の人だけが使える権利」を専用使用権と呼びます。誰がその権利を持つのか、使用料はどう扱われるのか、あとから変えるにはどんな決議が要るのかは、組合員の暮らしと管理組合の収入の両方に関わります。この記事では、国土交通省の標準管理規約(令和7年10月17日改正、単棟型)の第14条から第16条を中心に、専用使用権の決まり方、使用料、変更の手続きを順に確かめます。標準管理規約は、管理組合が規約をつくり、見直すときの目安として示されているものです。各マンションの規約は標準と違うことがありますから、自分のマンションの規約は別に確かめてください。

専用使用権は規約で決まる

共用部分や敷地は区分所有者全員のものですから、一部の人だけに使わせるには根拠が要ります。区分所有法第30条第1項は、建物や敷地の管理や使用に関する区分所有者どうしの事項を、規約で定めることができるとしています。同条第3項は、規約を定めるときに、場所の形状や使用目的、利用状況、区分所有者が支払った対価などを総合して、区分所有者間の利害の衡平が図られるようにすることを求めています。条文は e-Gov 法令検索で確認した現在のものです。 標準管理規約の第14条第1項は、別表第4に掲げるバルコニー、玄関扉、窓枠、窓ガラス、1階に面する庭、屋上テラスについて、同表のとおり専用使用権を持つことを区分所有者が承認する、という形で定めています。別表第4の書式を見ると、バルコニーの専用使用権者は「当該専有部分の区分所有者」、1階に面する庭と屋上テラスは「○○号室住戸の区分所有者」と記入する欄になっています。「ルーフバルコニー」や「専用庭」という呼び方は、標準の条文には出てきません。標準が使う言葉は「屋上テラス」と「1階に面する庭」です。自分のマンションの規約がどの場所をどう呼んで別表に載せているかは、規約を開いて確かめることになります。 第14条第3項は、専有部分を借りた人は、貸した区分所有者が専用使用権を持つバルコニー等を使えるとしています。 専用使用権は、持ち主が自由に使える権利ではありません。コメント(解説)は、対象が敷地や共用部分の一部であることから、通常の用法に従って使うこと、管理に必要な範囲で他の人が立ち入ることがあることなどの制限が伴うと説明しています。工作物を置かない、外観を変えない、といった決まりは使用細則で物件ごとに定めるとされています。 費用の負担は第21条が分けています。バルコニー等の保存行為(現状を保つための行為)のうち、通常の使用に伴うものは、専用使用権を持つ人が責任と負担で行います。コメントは、バルコニーの清掃や、窓ガラスが割れたときの入れ替えをその例に挙げ、経年劣化への対応は管理組合が計画修繕として行うものだとしています。

駐車場の使用料と、使用料の行き先

第15条第1項は、管理組合が、図に示した駐車場を、特定の区分所有者に駐車場使用契約で使わせることができると定めます。バルコニーが専有部分に付いて回るのに対し、駐車場は契約で使う人が決まります。第2項は、使っている人が管理組合に駐車場使用料を納めること、第3項は、区分所有者が専有部分を他の区分所有者や第三者に譲渡または貸与したとき、その人の駐車場使用契約は効力を失うことを定めています。 コメントによると、この条文は、住戸数に比べて駐車場の台数が足りず、空き待ちの人が多い場合を前提にしています。近年は需要が減って空き区画が出ているケースもあるとして、使用料収入が修繕積立金の不足への対策になることから、組合員以外の人に使わせることも考えられると書いています。その場合の税務上の扱いについては、国税庁の見解が公表されているとして参照を促しています。税務は個別の事情で変わるため、この記事では触れません。 使用者の選び方も、コメントに例があります。最初に選ぶときは抽選、2回目以降は抽選または申込順にするなど、公平な方法で行うこと。契約に期間を設け、期間が終わるときに公平な方法で入れ替える方法(定期的な入替え制)もあること。使用料は、近くにある同種の駐車場の料金と均衡を失わないように設定し、平置きか機械式か、屋根付きかといった利便性の差に応じて、柔軟な料金にすることも考えられること。以上がコメントの内容です。 使用料の行き先は第29条が定めています。駐車場使用料その他、敷地及び共用部分等に係る使用料は、それらの管理に要する費用に充てるほか、修繕積立金として積み立てます。使用料は管理組合の会計に入るもので、特定の区分所有者の収入にはなりません。 1階の専用庭については、第14条第2項が、専用使用権を持つ人は、別に定めるところにより管理組合に専用使用料を納めると定めています。バルコニーには、標準の条文に使用料の定めがありません。ただしコメントは、バルコニーや屋上テラスがすべての住戸に付いているわけではない場合には、別に専用使用料を徴収することを定めることもできるとしています。 第16条は、専用使用ではなく、第三者に使わせる場合の条文です。第2項は、管理組合が総会の決議を経て、駐車場と専用使用部分を除く敷地や共用部分の一部を第三者に使わせることができるとし、コメントは、その対象を広告塔や看板などとしています。有償か無償か、有償ならいくらかは、使用条件で明らかにするとされています。

使用料や専用使用権を変えるときの決議

使用料の額は総会で決めます。第48条は総会の決議事項として、規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止(第一号)、管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法(第六号)、第16条第2項に定める敷地及び共用部分等の第三者の使用(第八号)などを挙げています。 決議の重さは、何を変えるかで違います。第47条第3項第一号は、規約の制定、変更又は廃止を特別多数決の対象にしています。組合員総数の過半数であって議決権総数の過半数を有する組合員の出席が要り、出席組合員とその議決権の各4分の3以上の賛成で決めます。区分所有法第31条第1項も、規約の変更を、出席した区分所有者とその議決権の各4分の3以上の多数による決議としています。一方、標準管理規約の第47条第3項と第4項には使用料の額が挙がっていません。条文の並びから読むと、使用料の額や使用細則の変更は、第2項の出席組合員の議決権の過半数で決める普通決議にあたると考えられます。ただし、使用料の額を規約本文に書き込んでいるマンションでは、額の変更は規約の変更になります。この読み方をコメントが直接述べているかどうかは、確認できませんでした。 専用使用権そのものを動かす場合は、権利を持つ人に直接響きます。第47条第9項は、規約の変更が一部の組合員の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その組合員の承諾を得なければならず、承諾を求められた組合員は正当な理由がなければ拒んではならないと定めています。区分所有法第31条第1項の後段にも、同じ趣旨の規定があります。何が「特別の影響」にあたるかは、標準管理規約の本文は基準を示しておらず、個別の事情で判断することになります。別表第4は規約に付く別表ですから、専用使用権者の書き換えは規約の変更として扱うのが自然だと思いますが、各マンションの規約の作りで変わります。 工事で共用部分を変更する場合にも、第47条第10項が、その変更が専有部分や専用使用部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分を所有する組合員、または専用使用を認められている組合員の承諾が要ると定めています。ここでも、承諾を求められた組合員は正当な理由がなければ拒めません。 駐車場の入替えや使用者の選び方のような細かい運用は、使用細則と使用契約で決めます。コメントは、駐車場使用細則を別に定めること、契約書の様式も使用細則に位置づけ、あらかじめ総会で合意を得ておくことが望ましいとしています。

考えるための問い

  • 自分のマンションの規約では、専用使用権の対象と使用権者が、別表などにどう書かれているか。「バルコニー」「専用庭」といった普段の呼び名と、規約の言葉は一致しているか。
  • 駐車場の使用料、使用者の選び方、入替えの方法は、規約、使用細則、使用契約のどこに書かれているか。空きが出ているとき、公平な方法で決める仕組みになっているか。
  • 使用料の額や専用使用部分を変えるとき、自分のマンションの規約では、総会のどの決議で、誰の承諾が要ると書かれているか。

出典