サザンコーストA棟 資料アーカイブver0.90

マンション管理の基礎知識公的な出典で確かめた、マンション管理の一般的な知識

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防災マンションの防火管理者と消防計画、消防設備点検は誰が何をするか

マンションの火災に備える法律として、消防法があります。この法律は、一定の規模の建物に「防火管理者」を置くこと、「消防計画」をつくること、消防用の設備を定期的に点検することを求めています。義務を負うのは、多くの場合、管理組合です。理事会の交代で引き継ぎが途切れやすい仕事でもあります。この記事では、どんなマンションに義務があるのか、管理組合は何をするのかを、条文と自治体の案内で確かめた範囲で整理します。

どんなマンションに防火管理者が必要か

消防法第8条は、多くの人が出入りし、勤務し、または居住する建物のうち政令で定めるものについて、その管理について権原を持つ人に、防火管理者を定めることを求めています。権原とは、建物の管理をする法的な立場のことです。政令とは、国が法律の細目を決める命令で、ここでは消防法施行令がそれにあたります。 マンションなどの共同住宅は、施行令の別表で「寄宿舎、下宿又は共同住宅」に分類されます。施行令第1条の2第3項は、この種の建物について、そこに居住する人などの数(収容人員)が50人以上であれば防火管理者を定めるべき建物としています。共同住宅の収容人員は、消防法施行規則第1条の3により、居住者の数で数えます。 50人は一棟全体の人数であり、一住戸の人数ではありません。階数や戸数が少なくても、住んでいる人が合わせて50人以上なら対象になります。 防火管理者の資格には、甲種と乙種があります(施行令第3条)。浜松市の案内によると、共同住宅は収容人員50人以上かつ延べ面積500平方メートル以上で甲種の対象になります。施行令の条文でも、延べ面積500平方メートル未満の共同住宅は乙種の対象に分かれているので、おおむね一致します。どちらの資格が要るかは、管轄の消防署で確かめるのが確実です。資格は、消防機関や登録を受けた法人が行う防火管理講習を修了することで得られます。

管理組合は何をするのか

分譲マンションでは、防火管理者を定める義務を負う「管理権原者」にあたるのは、管理組合の理事長であると、柏市と熱海市の案内に書かれています。理事長は管理組合の代表であり、防火管理者を選んで消防署に届け出る立場になります。 防火管理者になれるのは、資格を持つ人であって、防火管理上必要な業務を適切に遂行できる管理的または監督的な地位にある人です(施行令第3条)。 防火管理者を定めたときは、遅滞なく所轄の消防長または消防署長に届け出ます。解任したときも同じです(消防法第8条第2項)。届出書には、資格を証明する書面を添えます(施行規則第3条の2)。理事の任期で防火管理者が替わるたびに、この届出が要ります。 消防署長は、防火管理者が定められていないと認めるときは、定めるよう管理権原者に命じることができます(同条第3項)。

消防計画と訓練

防火管理者の仕事の中心は、消防計画をつくることです。消防計画とは、火災や地震が起きたときの動き方と、ふだんの管理の内容を文書にしたものです。防火管理者が管理権原者の指示を受けて作成し、消防署に届け出ます。内容を変更するときも同じです(施行規則第3条第1項)。 施行規則第3条第1項は、計画に盛り込むおもな事項として、次のようなものを挙げています。
  • 自衛消防の組織
  • 火災予防のための自主検査
  • 消防用設備等の点検と整備
  • 避難通路、避難口などの維持管理
  • 防火管理上必要な教育
  • 消火、通報、避難の訓練を定期的に行うこと
  • 火災や地震が起きたときの消火、通報連絡、避難誘導
消防法第8条は、消防計画に基づく消火、通報、避難の訓練の実施も、防火管理者の業務に含めています。 訓練の回数には注意が必要です。施行規則第3条第10項は、消火訓練と避難訓練を年2回以上と定めていますが、対象は劇場、店舗、旅館、病院などの用途で、共同住宅は条文の列挙に入っていません。つまり、国の規則では、マンションに年2回の義務は定められていないことになります。一方、自治体の案内には独自の目安があります。熱海市は、共同住宅について総合訓練を年1回以上としています。実際の回数は、管轄の消防署の案内に合わせてください。

消防設備の点検と報告

消防法第17条の3の3は、建物に設けた消防用設備等を、総務省令の定めに従って定期に点検し、結果を消防署長に報告するよう関係者に求めています。 点検の周期は、施行規則第31条の6により、種類や内容に応じて1年以内で消防庁長官が定める期間ごととされています。札幌市の案内では、機器の外観や機能を見る機器点検が6か月ごと、実際に作動させて確かめる総合点検が1年ごとです。 報告の周期は、施行規則第31条の6第3項で、共同住宅は3年に1回と定められています。一方、同じ条文で、劇場、飲食店、病院などは1年に1回です。点検そのものは1年以内の周期で続き、3年に1回なのは報告だけです。 点検をだれがするかも決まっています。延べ面積1,000平方メートル以上の共同住宅のうち、消防長または消防署長が指定したものは、消防設備士か、登録を受けた講習を修了した消防設備点検資格者に点検させなければなりません(施行令第36条第2項)。それ以外は、関係者が自分で点検できる扱いですが、札幌市は、確実に行うために有資格者へ依頼することが望ましいとしています。

防火管理を引き継ぐために

防火管理者の業務の一部を外部に委託する場合は、消防計画に、受託者の氏名と業務の範囲を定める必要があります(施行規則第3条第2項)。管理会社に任せていても、管理権原者である管理組合の責任がなくなるわけではありません。 管理組合の側で整えておくものは、防火管理者の届出の控え、消防計画、訓練の記録、点検の結果と報告書の写しです。理事会が替わっても、これらが残っていれば、次の役員が状況をつかめます。 建物全体を見る統括防火管理者という制度が、消防法第8条の2にあります。どのマンションが対象になるかは今回確かめきれていないので、管轄の消防署に尋ねてください。A棟の消防計画や防火管理者がどうなっているかは、管理規約のコーナーや理事会で確かめてみてください。

考えるための問い

  • 自分のマンションの防火管理者はだれで、消防署への届出は最新の理事長や担当者の名前になっているでしょうか。
  • 消防計画は最後にいつ見直され、居住者に知らされているでしょうか。訓練は何年前に行ったでしょうか。
  • 消防設備の点検は毎年行われ、3年ごとの報告の控えが保管されているでしょうか。

出典