法律と規約マンション管理計画認定制度の審査項目と、認定のメリット・申請の流れ
マンションの管理の状態を、自治体が「基準を満たしている」と認める制度があります。管理計画認定制度です。この記事では、何を審査されるのか、認定を受けると何が得になるのか、どんな手間がかかるのかを、国や自治体の公開資料で確かめた範囲でまとめます。総会で「うちも認定を取ってはどうか」という話が出たとき、判断の材料にしていただくための文章です。
制度の位置づけ
この制度は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下、適正化法)に基づいています。管理組合が作った管理計画が国の基準に合っていれば、自治体が認定します。国土交通省のマンション管理ポータルでは、令和4年度に始まった制度と説明されています。 認定をするのは、適正化推進計画を作った市と特別区です。町村部では都道府県が担当します。自治体によっては、国の基準に独自の基準を足していることがあります。申請先の自治体の案内を、最初に確かめる必要があります。何を審査されるのか
国土交通省のポータルによると、基準は全部で16項目あり、すべて満たすことが求められます。五つの分野に分かれています。 管理組合の運営では、管理者などが決まっていること、監事が選ばれていること、総会が年1回以上開かれていることが見られます。確認には総会の議事録の写しを使います。 管理規約では、規約があることに加えて、緊急時に専有部分へ立ち入れること、修繕の履歴を保管すること、組合の財務や管理の情報を提供することが規約に定められているかを見ます。 経理では、管理費と修繕積立金を分けて経理していること、修繕積立金を他の会計に回していないことを見ます。もう一つ、直前の事業年度の終わりの時点で、修繕積立金を3か月以上滞納している額が全体の1割以内であることも条件です。 長期修繕計画には項目が最も多く、六つあります。計画の内容と積立金の額が総会で決議されていること、作成か見直しが7年以内であること、計画期間が30年以上で大規模修繕工事が2回以上入っていることが基準です。さらに、一時金の徴収を予定していないこと、積立金の平均額が著しく低くないこと、最終年度に借入金が残らない計画であることも求められます。 その他として、組合員名簿と居住者名簿を備え、年1回以上内容を確認していることが挙げられています。 この中で、書類をそろえるときに手間取りやすいのは、長期修繕計画と名簿の二つでしょう。計画の見直しが7年を過ぎていれば、まず見直しから始めることになります。名簿は、あるだけでは足りず、年1回の確認の記録が要ります。認定を受けると何が得になるのか
国土交通省のページと住宅金融支援機構のページで確かめられた優遇は、次のとおりです。- 住宅金融支援機構のマンションすまい・る融資(管理組合が申し込む共用部分リフォーム融資)は、管理計画認定の取得により金利が年0.2%下がります。申し込みの時点で認定を取得している必要があると、機構のページに書かれています。
- マンションすまい・る債の利率の上乗せと、フラット35の金利引き下げも、国土交通省のページに挙げられています。ただし、引き下げ幅と期間は、私が内容を読めた資料では確認できませんでした。
- 長寿命化に役立つ大規模修繕工事をしたとき、翌年度の固定資産税が減額される制度があります。
- 築20年以上で、総戸数が10戸以上であること。
- 外壁塗装、床の防水、屋根の防水の三つをそろえた工事を一体で行うこと。
- 過去にも長寿命化工事を1回行っていること。
- 認定を受けた場合は、修繕積立金を令和3年9月1日以降に認定基準まで引き上げていること。
- 工事の完了日から3か月以内に申告すること。
かかる手間と費用
最大の手間は、基準を満たすための準備です。足りない項目があれば、総会で話し合って直してから申請します。国土交通省のポータルは、全項目の適合が必要だと説明しています。 申請の流れは、国土交通省のポータルによると次のとおりです。- 16項目を満たしているかを確かめる。
- 総会で、認定を申請することを決議する。標準管理規約に沿った規約なら、出席組合員の2分の1の賛成で決められると、ポータルに書かれています。
- 事前確認を受ける。依頼先は、マンション管理センター、日本マンション管理士会連合会、管理委託契約をしている管理会社、顧問契約のマンション管理士(所定の講習を終えた人に限る)のいずれかです。基準を満たすと適合証が出ます。
- 適合証を添えて、自治体に申請する。
令和9年4月から基準が見直される
制度は変わる途中にあります。国土交通省の発表では、令和7年5月30日に公布された法律の一部が、令和9年4月1日に施行されます。新築の分譲時に事業者が認定を申請できる仕組みと、認定マンションの表示制度が加わります。 あわせて、管理組合が申請するときの認定基準も見直されます。同省のページによると、令和8年7月31日に省令が公布され、令和9年4月1日以降に自治体へ申請するものから、見直し後の基準が使われます。省令には経過措置があるとも書かれています。 見直しの具体的な中身は、私が開けた範囲では読み取れませんでした。申請の時期が令和9年4月をまたぐ場合は、同省のページに載る新しい基準の資料を、申請の前に確かめてください。考えるための問い
- 自分のマンションの長期修繕計画は、最後に作成か見直しをしてから何年たち、総会で積立金額まで決議されているでしょうか。
- 名簿の年1回の確認や、滞納の状況の把握は、いまの管理組合の仕事として回っているでしょうか。
- 認定の手間と費用に見合う使い道(修繕の融資や税の減額)が、今後の修繕計画にあるでしょうか。