サザンコーストA棟 資料アーカイブver0.90

マンション管理の基礎知識公的な出典で確かめた、マンション管理の一般的な知識

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運営管理会社との委託契約を見直すとき、どこを確かめるか

多くの管理組合は、会計や清掃、設備の点検などを管理会社に任せています。その中身と費用を決めるのが管理委託契約です。契約には期間があり、更新のたびに管理会社から説明を受けて総会で決めます。国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、契約が国の標準契約書に「概ね準拠している」と答えた管理組合が93.8%ありました。一方で、管理委託契約の内容を知っている区分所有者は29.8%にとどまります。国の標準契約書と法律の決まりをもとに、更新や見直しのときに確かめる点を並べます。理事になって更新の議案を受け取ったときの手がかりになります。

標準管理委託契約書が定める4つの業務

国土交通省は契約書のひな形として「マンション標準管理委託契約書」を公表しています。最新の改正は令和7年12月12日で、管理会社が管理組合の管理者を兼ねる方式への対応などが加わりました。この契約書の第3条は、管理事務を次の4つに分けています。
  • 事務管理業務:会計の収入と支出の管理、お金の出し入れ、修繕の計画づくりの手伝い、理事会や総会の支援など
  • 管理員業務:受付、点検、工事の立会い、報告や連絡など
  • 清掃業務:共用部分の日常清掃と定期清掃
  • 建物・設備等管理業務:外観の目視点検、法律で決められた建物や設備の点検、エレベーターや給水設備の点検など
事務管理業務のうち、会計とお金の出し入れ、修繕の企画や実施の調整は、マンション管理適正化法第2条第6号で基幹事務と呼ばれます。同法第74条は、管理会社が基幹事務をまとめてよその会社に任せることを禁じています。標準契約書の第4条もこれを受けて、ほかの3つの業務や事務管理業務の一部は再委託できるものの、事務管理業務を丸ごと再委託することはできない形にしています。なお、標準契約書のコメントは、警備業務や防火管理者の業務は管理事務に含まれず、別の契約にするのが望ましいとしています。

委託費は内訳で見る

標準契約書の第6条は、毎月決まった額を払う定額委託業務費と、それ以外の費用(業務が終わってから精算するもの)を分けて書くようにしています。定額委託業務費の内訳は別紙に書き出します。コメントによれば、内訳を出すのは、どの業務にいくら払っているかの関係をはっきりさせるためです。 更新の前に確かめたいのは、内訳と業務の中身が合っているかです。管理員の勤務日と勤務時間、清掃の範囲と時間帯、点検の項目は、別表に具体的に書かれます。金額だけを見て「高い」「安い」と言う前に、何をどれだけしてもらうのかを読み比べると、話し合いがしやすくなります。管理員や清掃の労働条件を見直すときは、管理会社が働き方改革関連法の趣旨などを説明し、理解を促すことが望ましいと、コメントは書いています。

法律で決まっている重要事項の説明

マンション管理適正化法第72条は、契約の前に管理会社が重要事項を説明するよう求めています。新しく契約を結ぶときは、管理会社が説明会を開き、区分所有者全員と理事長などの管理者に対して、管理業務主任者(法律に基づく管理業務主任者証の交付を受けた人)に説明させます。説明会の1週間前までに、重要事項と日時、場所を書いた書面を全員に配らなければなりません。説明する人は管理業務主任者証を見せ(同条第4項)、書面には管理業務主任者が記名します(同条第5項)。説明する事項は施行規則第84条に並んでおり、業務の内容と実施方法、費用と支払い方、再委託、免責、契約期間、更新、解除などが入っています。 これに対して、前と同じ条件で更新するときは、説明会は求められていません(同条第2項、第3項)。区分所有者全員に重要事項の書面を配り、管理者には管理業務主任者が書面を渡して説明します。ここでいう「同一の条件」について、国土交通省の通知は、業務の中身を変えずに委託費を下げる場合、業務を広げて費用を据え置くか下げる場合、契約期間を短くする場合なども含むとしています。逆に、委託費を上げるなど、この一覧に入らない変更をするときは、新しく契約するときと同じく説明会が必要になると読めます。契約が成立したあとは、契約内容を書いた書面が交付されます(同法第73条)。

更新までの段取り

標準契約書の第23条では、更新したい側が、契約の期間が終わる日の3か月前までに書面で申し出ます。期限までに話がまとまりそうにないときは、同じ条件で期間を決めて暫定の契約を結ぶこともできます。どちらからも申し出がなければ、契約は期間の終わりで終了します。標準管理規約(令和7年改正の単棟型)の第48条第17号は、管理委託契約の締結を総会の決議事項にしています。 ふだんの判断材料は、管理会社の報告です。適正化法第77条は管理事務の定期の報告を義務づけており、標準契約書の第10条では、事業年度が終わってから決めた月数以内に1年分の報告を、毎月末までに前月の収支の書面を出すことになっています。更新の前に1年分の報告と重要事項説明書を読み、気になる点を理事会で質問しておくと、総会での説明が具体的になります。

相見積もりと管理会社の変更

国の「マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針」は、委託先を選ぶとき、理事長などが前もって資料を集めて区分所有者に公開し、管理会社の説明会も使って適正に選ぶよう努める、としています。ほかの会社から見積もりを取る相見積もりには、今の委託費と業務の範囲がほかと比べてどうかが分かり、今の会社との話し合いの材料にもなるという利点があります。ただし、比べる業務の範囲がそろっていないと、安く見える見積もりが実は業務を減らしているだけ、ということもあり得ます。各社に同じ業務の一覧を示して見積もってもらうと、比べやすくなります。 管理会社を変えると決めた場合について、横浜市のマンションポータルのコラムは、理事会で複数社の提案と見積もりを比べる、総会で新しい会社が重要事項を説明する、会計帳簿や組合員名簿などを確実に引き継ぐ、という流れを示しています。同じコラムは、管理会社の変更は規約の変更ではなく建物の管理に関する行為なので、規約に別の定めがなければ普通決議で決められると説明しています。標準契約書の第21条では、管理組合からも管理会社からも、少なくとも3か月前に書面で申し入れれば契約を終えられます。第23条第4項は、管理会社が契約の終わりまでに引継ぎをすることを定めています。 一方で、変更には別の心配もあります。新しい会社の仕事ぶりは、契約してみないと分からない部分が残ります。引継ぎが遅れると、会計や点検に空白ができかねません。今の会社に不満があるときは、まず何が不満なのかを書き出し、改善を求めてみる方法もあります。基本方針も、管理会社の業務に問題が生じたら、まずその会社に解決を求め、必要に応じてその会社が入っている団体に解決を求めるよう書いています。

考えるための問い

  • 自分のマンションの管理委託契約で、管理員の勤務時間や清掃の範囲は、別表にどう書かれているでしょうか。その内容は、ふだん目にしている管理の様子と合っていますか。
  • 次の更新で委託費が変わる提案があったとき、理事会は何と比べて妥当かどうかを判断しますか。
  • 管理会社に不満があるとき、変更を考える前に、どんな改善を求めることができそうでしょうか。

出典